甘えだと勘違いされやすい非定型うつ病
「うつは甘えだ」という考えは今でも時々聞かれます。このページを見ているあなたも、「うつは甘えだ」という考えに苦しんではいませんか?
特に、近年話題になっている「非定型うつ」は、甘えと誤解されやすい要素がたくさんあります。しかしながら、うつ病は一つの疾患であり、適切な治療をすれば治ります。そこで本コラムでは、甘えと勘違いされやすいうつの症状と種類を徹底解説いたします。
甘えだと勘違いされやすい非定形うつ病の症状とは?
「非定型うつ病」という言葉は、近年、報道などでも話題となっているのでご存じの方も多いでしょう。20代や30代に増えているうつ病の一種で「新型うつ病」や「現代型うつ病」などと言われることもあります。
非定型うつ病では、従来から言われているうつ病(定型うつ病)とは異なった症状が見られます。それらが周囲には「甘えている」「わがまま」などと思われ、本当に体調が悪いことを信じてもらえないことも多いのです。では早速具体的な症状を見ていきましょう。
気分の落ち込みはあるが、好きなことは楽しめる
一般的なうつ病では、どんなことにもやる気、興味を失い、何をしても楽しめず常に落ち込んでいます。一方、非定型うつ病では好きなことや楽しいことには元気になり、しっかり楽しめます。特に休日等は、別人のような状態で晴れやかな気分になることもできます。これが、一番「怠け者」「甘えているだけ」などと思われる要因ともなります。
寝過ぎてしまう
一般的なうつ病では、寝つきが悪く朝の目覚めも早くなりこれによる不眠が生じます。一方、非定型うつ病では、むしろ寝すぎの傾向がある人が多いです。このため、ずっと寝ていてだらけていると勘違いされてしまうことも少なくありません。
食べ過ぎてしまう
一般的なうつ病では、食欲が低下し、体重が減ることが多くなります。一方、非定型うつ病では過食傾向で体重が増えることが多くなります。そのため太ってしまう方も多く、病気だと思われないことが多くなってしまいます。
鉛のように体が重く動けない
非定型うつ病の特徴の一つに、疲労感が強くて体が鉛のように重く感じられるというものがあります。これにより動けず、一日中布団にこもってしまうなどして怠けているように見える場合もあります。
夕方くらいから調子が悪くなる
一般的なうつ病では、朝から午前中に最も憂うつになります。一方、非定型うつ病ではタ方から夜にかけて憂うつになりやすいため、早く仕事を終えたいように見えたり、ただ忍耐力が弱いだけと思われてしまったりする原因となります。
周りから拒絶されることに過敏になってしまう
一般的なうつ病では、自分を責める気持ちが強く、自分に対して苛立つことが多くなります。しかし、非定型うつ病では、自分以外の人間、他者に対して苛立つことが多くなります。イライラして落ち着かない状態が続き、他人の言動に敏感になってしまうことが多くなります。
これにより、ほんのささいなことで気分が落ち込んだり、怒りを爆発させたりするなど感情の抑制が効かなくなり、周囲から「わがままな人間だ」と思われてしまうことがあるのです。
甘えではない!非定型うつ病の治療とは?
このように甘えだと勘違いされやすい症状がよく現れる非定型うつ病ですが、適切な治療を行えば苦しみを改善させることができます。非定型うつ病の治療は、認知行動療法や薬物療法などさまざまなものに取り組みます。
慢性化する割合がとても高いので、適切な治療に取り組むことが大事になってきます。子どもの頃から「良い子」と言われてきた人がかかりやすいとされているので、自分を責めずにまずは病院へ相談してください。
認知行動療法
認知行動療法とは、自分自身の行動や考え方の偏りをなくして、社会性を身につけていくための訓練の方法です。薬物を用いない治療法の一つで、グループで実践されることや個人で行われることもあります。この様なトレーニングによって多くの人が改善したとの報告もあります。症状の改善を目指して、医師とともに取り組んで行きます。
また、励ましは定型うつ病では勧められていませんが、非定型うつ病では、やんわりと励ますほうが奮起のきっかけになります。このような周りのサポートも大切となってきます。
薬物療法
非定型うつ病の治療は、脳内の神経伝達物質の働きを整えるために症状に応じて、抗うつ薬・抗不安薬などを組み合わせて処方することがあります。薬物療法においては、まず不安要素を取り除くことが大事であると考えられており、不安を抑えながらうつ病の改善を測っていきます。副作用なども考慮しながら、患者さんにあった薬物を用いて治療していきます。
ただ残念なことに、非定型うつ病では、定型うつ病よりもよい結果が得られていません。そこで、並行してカウンセリングも行ってサポートしていきます。
生活習慣の改善
症状を改善するには、医療的アプローチだけでなく、日常生活の見直しも重要です。落ち込みがちな人は試してみましょう。
1.家事や仕事もいつもどおりこなす
乱れた体内リズムを立て直すには、毎日目標を持った生活を送ることが大切です。掃除や洗濯などの家事は、すぐに成果が見えるだけでなく生活環境が整うので、その日の目標にするには最適です。仕事を持つ人は、できるだけ普段どおりに出勤し、仕事に取り組んでみましょう。
2.ダラダラ食べたり、食事を抜くのをやめる
食事は、1日の生活にアクセントをつける重要なポイントです。3度の食事を規則正しくとることで、脳に定期的に血糖が送られます。すると脳が目覚めて、本来の機能を果たします。
3.太陽の光を浴びる
私たちの体の中に組み込まれた生体時計は、朝の光を浴びることでリセットされ、24時間サイクルを刻みます。そのため、日の光をしっかり浴び、外に出てウォーキングなどの有酸素運動を加えることで心が安定し、晴れやかな気分になることが期待できます。
うつ病かも?と思ったらMIZENのクリニックへ
このように最近では甘えだと思われやすい非定型うつ病も増えてきています。自分で甘えだと決めつけず、気軽にクリニックへ相談してください。非定型うつ病は慢性化しやすく、これにより他の精神疾患を引き起こすこともあります。
適切に治療することで改善しますので、少しでも心配なことを感じたら、お気軽にご相談ください。
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なお、当院にはじめての受診の方は、お薬の処方はオンライン受診のみでは行えませんので、初回からお薬の相談もご希望の方はホームページからご予約の上、ご来院ください。