CPAPのメリットとは?効果はあるのか?

  • 2023年12月14日
  • 2024年6月28日
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 睡眠時無呼吸症候群の治療法の一つにCPAPがあります。名前を聞いたことはあるけど具体的にどう効果があるのか分からないという人も多いのではないでしょうか。この記事ではCPAPについて効果やメリットを中心に解説します。

CPAPとは?

 CPAP(シーパップ)とは、睡眠時無呼吸症候群の方に対する治療法で、圧力をかけた空気を鼻から喉に送ることで睡眠時にもしっかりと呼吸をできるように補助してくれます。以下の記事で詳しく解説しています。

 CPAPとは?│MIZENクリニック豊洲内科・心療内科

 この記事では治療によって比較的すぐに直接得られる好ましい結果を「効果」、その他の好ましい事象を「メリット」と表現しています。

CPAPの効果

 CPAPの効果は装置の使用を開始すると速やかに現れます。具体的には以下のようなものがあります。

・睡眠不足の改善

 呼吸が止まると血液中の酸素濃度が下がって目が覚めてしまいますが、CPAPは強制的に喉に空気を送り込むので確実に呼吸ができるようになり、目が覚めるのを防ぐことができます。これにより、睡眠不足が改善し、日中の眠気も解消します。

・いびきの改善

 いびきは空気の通り道が狭くなったりふさがったりすることにより起きるので、CPAPによって空気の通り道を確保すれば改善します。

・高血圧の改善

 血液中の酸素濃度が下がると全身に酸素が行き渡りにくくなり、これを補おうとして心臓はさらに血液を送り出そうとします。その結果、血圧が上がり、脈拍も速くなります。無呼吸が改善すれば血液中の酸素濃度も正常値に戻るので、高血圧の原因も解消されます。[1]

・夜間のトイレ回数が減る

 睡眠時無呼吸症候群の重症度は夜間排尿回数と関係があり、これはCPAPによって改善したとの研究結果が報告されています。[2]

CPAPのメリット

 CPAPは長い目で見た時に次のような影響を与えると考えられます。

・交通事故や労働災害のリスクが下がる

 睡眠時無呼吸症候群の方は日中の眠気で集中力が低下することにより交通事故や労働災害にあうリスクが約2.6倍になることが知られていますがCPAP治療を開始した2年後の調査では事故率が半減したという報告があります。[3]

・脳卒中や狭心症、心筋梗塞といった病気のリスクが下がる

 無呼吸状態が続くと動脈硬化(血管が硬くなり、もろくなること)につながる可能性があります。動脈硬化は脳卒中や狭心症、心筋梗塞のリスクになります。また、睡眠不足で自律神経が乱れた結果、不整脈が起きやすくなります。CPAPはこれらの病気の原因の一つを解消すると言えます。

 以下の記事の「睡眠時無呼吸症候群を放置するとどうなるのか」の項目もご参照ください。

 そのいびきもしかしたら!?睡眠時無呼吸症候群が隠れているかも

・気分障害の改善 

 睡眠不足は精神疾患の方に似た脳機能の変化を招き、うつ病の原因となることがあります。CPAPによって抑うつ症状が改善したという報告もされています。[4]

・体へのダメージが少ない

 CPAPは体の外側に装置を装着するだけの治療で、医薬品や手術など体そのものに物理的に影響を及ぼすものではありません。

CPAPのデメリット

 CPAPのデメリットはいくつかあげられます。

・腹部の張り、おなら

 装置から送り込まれる空気を飲むことで腹部に張りが生じたりおならが出やすくなったりすることがありますが、装置の圧力設定を調節するなどして対処することができます。

・そもそも根本的な治療ではないので長期利用になる

 CPAPは症状を抑える治療法であって睡眠時無呼吸症候群を治す治療ではありません。睡眠時無呼吸症候群の根本的な治療は生活習慣の改善など、長期にわたる場合が多いので必然的にCPAPも長期利用することになります。

 デメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。

 CPAPのデメリットとは?副作用はあるのか?│MIZENクリニック豊洲内科・心療内科

まずは医師に相談を

 CPAPの利用は睡眠不足を解消するなどすぐに効果を得られるほか、心筋梗塞などの病気のリスクを減らすといった長い目で見た時のメリットがあります。デメリットを考慮しても導入する価値は十分あると言えるでしょう。MIZENクリニックでは患者様ひとりひとりに合わせた治療法をご提案しています。いびきや睡眠不足でお悩みの方、CPAPに興味のある方は一度当院にご相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献

1.Picard F, Panagiotidou P, Tammen AB, Wolf-Pütz A, Steffen M, Gerhardy HJ, Waßenberg S, Klein RM. Nocturnal blood pressure and nocturnal blood pressure fluctuations: the effect of short-term CPAP therapy and their association with the severity of obstructive sleep apnea. J Clin Sleep Med. 2022 Feb 1;18(2):361-371.

2.Obstructive sleep apnea syndrome should be considered as a cause of nocturia in younger patients without other voiding symptoms. T. Maeda, K. Fukunaga, H. Nagata, Mizuha Haraguchi, E. Kikuchi, A. Miyajima, W. Yamasawa, R. Shirahama, M. Narita, T. Betsuyaku, K. Asano, M. Oya Canadian Urological Association journal = Journal de l’Association des urologues du Canada 2016

3.Rodenstein D. Sleep apnea: traffic and occupational accidents–individual risks, socioeconomic and legal implications. Respiration. 2009;78(3):241-8.

4.1100020094.pdf (jspn.or.jp) 睡眠時無呼吸症候群(SAS)と精神疾患ーSAS とうつ病との関係ー 内村 直尚,土生川 光成

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