甘く見ると危険!? LDLコレステロールを下げる方法とは?

LDLコレステロールとは?

コレステロールは脂質の一種であり、細胞にとって必要不可欠な物質です。LDLコレステロールはこのコレステロール等の脂質を全身の細胞に運ぶ役割(リポタンパク質)を担っています。しかし、血中にLDLコレステロールが必要以上に多く存在すると、細胞へ大量に運ばれた脂質が代謝しきれずに余ってしまい、血管壁に沈着・蓄積していくことで、血管の炎症を起こし動脈硬化へと繋がってしまうのです。

 このため血中のLDLコレステロール値が高いと、将来的に動脈硬化によって心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが高まります(1)。また近年、LDLコレステロールが高い期間が長ければ長いほど、上記の疾患の発症リスクが累積して高まることがわかってきました(2)。「特に自覚症状もないから大丈夫」と見過ごす方も多いですが、異常値を指摘された際に、早めに対処することが今後の健康のためにとても重要なのです。

LDLコレステロールを下げるためには?

  LDLコレステロールを下げるには、日々の生活習慣を見直すことが最も重要です(3)。いきなり全てを最初から行うことは難しいかもしれません。自分のライフスタイルと相談しながら、できるものから徐々に取り組みましょう。毎日の継続が最も大切です。

1.  食生活の見直し

体内で作られるコレステロールの量を下げるためには、毎日の食事内容を変えていく必要があります。

・質の良い脂質を摂る

加工食品、バターやマーガリンが含まれる菓子類、揚げ物などは控えましょう。これらにはLDLコレステロール数を増やす飽和脂肪酸を多く含みます。一方でオリーブオイルといった植物油や魚類にはLDLコレステロール数を減らす働きのある、不飽和脂肪酸が多く含まれます。主菜には肉類ではなく魚類を優先的に選ぶと良いでしょう。

・食物繊維を摂る

食物繊維はコレステロールの吸収を抑えるため、積極的に摂取しましょう。緑黄色野菜や海藻、大豆などに多く含まれており、抗酸化物質であるビタミンも同時に摂取することができます。

上記が満たされている食生活として、”地中海式ダイエット”があります。これはイタリア南部、ギリシャといった地中海沿岸地域の伝統的な料理で、まさにイメージの通り、魚介類や野菜を中心としてオリーブオイルをたっぷりと使用する食事です。自然と一日の総カロリー摂取量も減らすことができ、LDLコレステロールを下げるには理想的な食事です。

2. 禁煙

タバコは血中のLDLコレステロールを増加させる作用があることが知られています。また血圧の上昇も招くため、動脈硬化の進行も促進させてしまいます。また自分が喫煙者でなくても、受動喫煙も非常に悪影響です。ご家族等に吸っている方がいる場合は、禁煙に協力してもらいましょう。

3. 有酸素運動

  有酸素運動はLDLコレステロールを下げることが知られています(4)。また基礎代謝も上がることで脂肪も燃焼しやすくなり、血圧も下がるなどまさに良いことづくめです。ジョギングや早歩きといった、ややきついと感じる運動を毎日30分以上することが推奨されています。日々の生活でも、なるべく階段を使用する等といった意識をすると良いでしょう。

生活習慣だけでLDLコレステロールが下がらない時は?

上記の生活習慣の改善を図っても、コレステロールの値が下がりきらない場合もあります。

例えば閉経後の女性は、ホルモンのエストロゲンが低下することで、血中LDLコレステロールが高くなることが知られています。実際に40代半ばを過ぎると男性より女性の方が高値な割合が増えてきます(5)

 若年者のLDLコレステロールが高い場合にも注意が必要です。家族性高コレステロール血症という遺伝的な疾患が潜んでいる場合には、早めの治療が必要です。

このように個人差によって生活習慣の改善のみで値をコントロールできない場合は、薬物療法を併用して行うことでLDLコレステロールの値を下げ、血管系の疾患の発症リスクを抑えることが可能です(6)。思い当たる方は一度受診すると良いでしょう。

 

異常値を指摘されたらまずは相談を

  冒頭でもお話した通り、動脈硬化を進行させないために、異常値を指摘されたら出来るだけ早めに生活習慣の改善や薬物療法を行うことが大切です。また生活習慣は一人で継続して改善することがなかなか難しいです。MIZENクリニックでは平日夜18時からの夜間診察やオンライン診療を行なっています。忙しい方も仕事終わりなどにご気軽にご相談ください。

参考文献

(1)Low-density lipoproteins cause atherosclerotic cardiovascular disease. 1. Evidence from genetic, epidemiologic, and clinical studies. A consensus statement from the European Atherosclerosis Society Consensus Panel.” Ference BA et. al. Eur Heart J. 2017;38(32):2459.

(2)Ference BA. Impact of Lipids on Cardiovascular Health JACC Health Promotion Series.  J Am Coll Cardiol. 2018; 72: 1141-56

(3)日本動脈硬化学会(編). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版

(4)Effects of diet and exercise in men and postmenopausal women with low levels of HDL cholesterol and high levels of LDL cholesterol.” Stefanick ML et. al. N Engl J Med. 1998;339(1):12.

(5)厚生労働省.「平成21年国民健康栄養調査報告」

(6)Cholesterol Treatment Trialists’ (CTT) Collaboration. Efficacy and safety of more intensive lowering of LDL cholesterol: a meta-analysis of data from 170,000 participants in 26 randomised trials. Lancet. 2010; 376: 1670-81

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