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寝ても寝ても眠い

  • 2025年6月23日
  • 2025年6月23日
  • SAS
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その眠気、もしかして病気かも?

 「8時間以上寝ているのに朝からぼんやりする」「日中も眠気が取れず、仕事や勉強が手につかない」――そんな経験はありませんか?一見ただの疲労や寝不足に思えるこの症状、実は体の中で何かがうまく働いていないサインかもしれません。

原因

「いくら寝ても眠い」状態には、いくつかの医学的な原因が考えられます。たとえば、

  • 鉄欠乏性貧血:酸素を運ぶヘモグロビンが不足して全身がだるく感じる[1]
  • 甲状腺機能低下症:代謝が低下し、全身の活動が鈍る[2]
  • うつ病・季節性うつ:精神的な要因が眠気や疲労感につながる[3]
  • ナルコレプシー:脳の覚醒機能に異常がある睡眠障害[4]
  • 生活習慣の乱れ・薬の副作用なども眠気の原因になります[5]

そして、意外と多くの人が気づかないのが、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」という病気です。

睡眠時無呼吸症候群とは?

 睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、眠っている間に呼吸が繰り返し止まる病気です。呼吸が10秒以上止まる「無呼吸」や、著しく弱くなる「低呼吸」が、一晩に何十回、重度では100回以上も起こることがあります。[6]中でも圧倒的に多いのが「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA: Obstructive Sleep Apnea)」です。この病気では、寝ている間に呼吸が何度も妨げられ、そのたびに脳が無意識に覚醒し、深い睡眠が取れなくなるのが最大の問題です。

その結果

  • 熟睡できない → 日中の眠気・集中力低下
  • 酸素不足 → 高血圧や動脈硬化などのリスク上昇
  • 睡眠の質の悪化 → 生活習慣病や心疾患、脳卒中のリスク

と、見過ごせない影響が蓄積していきます。特に「いびきが大きい」「夜間に何度も目が覚める」「朝すっきりしない」「日中に強烈な眠気がある」といった症状がある場合は、自覚のないままSASが進行している可能性も。放置せず、早めに専門医の診察を受けることが重要です。

あてはまる症状があるか不安な方へ

 「もしかして自分もSASかも…?」と思った方は、以下の記事にあるセルフチェックリストを参考にしてみてください。
睡眠時無呼吸症候群のセルフチェックをしてみよう!
いくつか該当する項目があれば、早めの医療機関受診をおすすめします。

睡眠の質を改善する「CPAP療法」とは?

 SASと診断された場合、代表的な治療法として用いられるのが「CPAP(シーパップ)療法」です。この治療では、就寝中に専用のマスクを装着し、一定の空気圧で気道を押し広げることで、無呼吸や低呼吸を防ぎます。これにより、睡眠中の呼吸が安定し、脳や身体がしっかりと休息できるようになります。

CPAP療法によって期待できる効果には以下のようなものがあります:

  • 起床時のだるさや頭の重さの軽減
  • 日中の眠気・集中力の改善
  • 血圧の安定化
  • 心血管疾患や糖尿病リスクの低下

(※)糖尿病との詳しい関連については、こちらの記事をご覧ください:

CPAPと糖尿病との関係は?

なお、治療には医師による診断と継続的なモニタリングが必要です。自分に適した設定で使用することで、安全かつ効果的に睡眠の質を向上させることが可能です。

まとめ

「寝ても寝ても眠い」という状態は、単なる疲労や寝不足ではなく、睡眠の質が根本から損なわれているサインかもしれません。SASは非常に多くの人に見られる原因であり、放置することで生活の質や健康に大きな影響を及ぼす可能性があります。気になる症状がある方は、まずは自身の状態を見直し、必要であれば専門医の受診や検査を検討してみてください。正しく眠れるようになることは、健康を取り戻す大切な一歩です。

参考文献

  1. Yuan, X. et al. (2023). Iron deficiency and fatigue: A comprehensive review. Current Opinion in Clinical Nutrition & Metabolic Care, 26(1), 1–7.
  2. Taylor, P. N., Albrecht, D., Scholz, A., Gutierrez-Buey, G., Lazarus, J. H., Dayan, C. M., & Okosieme, O. E. (2018). Global epidemiology of hyperthyroidism and hypothyroidism. Nature Reviews Endocrinology, 14(5), 301–316.
  3. Magnusson, A., & Boivin, D. (2003). Seasonal affective disorder: An overview. Chronobiology International, 20(2), 189–207.
  4. Thorpy, M. J., & Siegel, J. M. (2024). REM sleep in narcolepsy. Sleep Medicine Reviews.
  5. CT Society. (2025). Expert consensus on the diagnosis and treatment of excessive daytime sleepiness in obstructive sleep apnea. Chinese Journal of Tuberculosis and Respiratory Diseases.
  6. Henning, R. J., & Anderson, W. M. D. (2025). Sleep apnea is a common and dangerous cardiovascular risk factor. Current Problems in Cardiology. https://doi.org/10.1016/j.cpcardiol.2024.101256

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