過眠症とは?症状・種類・原因・対策を詳しく解説
過眠症とは?
過眠症(hypersomnia)は、十分に睡眠をとっているにもかかわらず、日中に強い眠気や眠りに落ちる発作が繰り返し現れ、日常生活に支障をきたす睡眠障害の一種です。
過眠症の主な症状には「十分な睡眠を取っても日中に強い眠気が出る」「突然眠り込んでしまう」「目覚めが悪い」「長時間睡眠」などが挙げられます。日中じっとしているときだけでなく、仕事中や会話中、運転中でも居眠りをしてしまうことがあり、自分の意思でコントロールできません。
過眠症の症状と影響とは?
■ 過眠症の症状:日中に突然眠り込んでしまう
過眠症では、日中にどうしても耐えがたい眠気に襲われるほか、活動中であっても突然眠り込んでしまうことがあります。夜間に十分な睡眠をとっても朝すっきりと起きられず、日中も眠気が続くことも特徴です。仮眠をとっても十分にリフレッシュできない、目覚めの悪さを感じる方も少なくありません。また、眠り始めや目覚め直後に幻覚を見たり身体が動かなくなる金縛りの症状がみられることがあり、現実感の喪失や無気力・抑うつといった精神的症状を伴うこともあります。
■ 過眠症の影響:生活や仕事の質を落としてしまう
過眠症によって日常生活にはさまざまな支障が生じます。例えば、集中力や判断力が低下することで学業や仕事に影響が出やすく、作業ミスや遅刻・欠席の増加、成績不振につながることがあります。また、運転中や機械作業中に居眠りをしてしまい、交通事故や労働災害のリスクが高まります。気分の落ち込みやイライラ、無気力、頭痛や体のだるさなど様々な不調が現れやすくなり、こうした症状が周囲の理解を得られずに「怠けている」と誤解されることで、余計な心理的ストレスを感じてしまうケースもあります。
過眠症はこのように、単なる眠気にとどまらず、生活全般の質(QOL)を著しく損なう可能性があります。
過眠症の原因は?
■睡眠不足症候群
慢性的な睡眠時間の不足によって日中に強い眠気や疲労感が生じる状態です。生活習慣の見直しにより改善可能で、十分な睡眠確保が治療の基本となります。
■睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠中に気道が閉塞し、繰り返し呼吸が止まることで睡眠断片化が起こり、日中の過度な眠気や疲労を引き起こす疾患です。大きないびきや肥満が特徴的です。
■うつ病・その他の精神疾患
気分の落ち込みや意欲低下などの精神症状が主体で、過眠や日中の倦怠感を伴うことがあります。精神疾患の治療が必要です。
■概日リズム睡眠障害
体内時計の乱れにより睡眠の時間帯が遅れたり逆転したりすることで、夜間に眠れず昼間に強い眠気が来る状態です。
■特発性過眠症・ナルコレプシー
ナルコレプシーは強い日中の眠気に加え入眠時幻覚などが特徴です。特発性過眠症は長時間睡眠や目覚めの悪さが主症状。
過眠症の対策
過眠症の根本的な改善や症状の軽減には、生活習慣の改善が第一歩です。毎日同じ時間に寝起きし、休日も含めて規則正しい睡眠リズムを確立します。寝室は静かで暗くし睡眠環境を整え、スマートフォンやテレビは寝る前に避けます。夕方以降のコーヒー・お茶などのカフェインやアルコールは控え、仮眠も夕方以降は避けた方がよいとされています。
生活習慣の見直しや睡眠環境の改善をおこなっても症状が続く際は、薬物療法が必要になる場合があります。また、うつ病や精神疾患、睡眠時無呼吸症候群による過眠症が疑われる場合は、原疾患に対する治療が必要になります。抗うつ薬や持続陽圧呼吸療法(CPAP)などの治療が検討されますので、医療機関で相談してください。
また、睡眠時無呼吸症候群による過眠症が疑われる場合は、オンライン診療での診察も対応しています。スマホやPCで診察を受け、検査やCPAPによる治療が自宅で受けることができます。もちろん対面診療でも受診できますので、過眠や寝不足、いびきなどが気になる場合は医療機関にご相談ください。