「生活習慣に気を付けましょう」と言われたら。悪玉(LDL)コレステロールを下げる食事とは?

  • 2026年6月25日
  • 2026年6月25日
  • 未分類

健康診断で「コレステロールが高い」と指摘された場合、ある一定の基準を満たす場合はコレステロール薬がおすすめされると思います。しかし、薬が処方されていてもされていなくても、まずは「生活習慣を気を付けましょう」と言われることが多いと思います。実際にどう気を付けたらよいかまでは外来でなかなか説明する時間がとれないことが多いですから、ぜひ以下の記事を参考にしてみてください。

20代・30代・40代のコレステロール値に気を付けるべき

少し話がそれますが、「自分はまだ20代・30代だからコレステロールが高くても心筋梗塞にはならない」とどこかで考えてしまいがちです。ただ、実はそうではないんです。

最近の研究によると、「若いうちからのコレステロール管理が将来の心臓病予防に極めて重要」であると言われています。コレステロールと心筋梗塞などとの関連を示す膨大なデータを分析した研究によると、「18歳から40歳までの間でコレステロールの値が高い状態が続けば続くほど、40歳以降の心筋梗塞などのリスクが高くなる」ことが分かっています。また、「同じコレステロール値でも、より若い年齢で高値になった場合の方が、将来のリスクが高くなる」ことも知られています。

コレステロールが高い状態が続くことで、血管にダメージが蓄積される、「累積曝露」という考え方です。つまり、病気が気になる年齢になってからコレステロールを気にするのではなく、20代・30代のころからコレステロール値を安定させておくことが重要なのです。

実際に食事のどんなところに気を付ければよいのか、まとめました。

食事から摂るコレステロールは、血液中の数値にあまり影響しない

昔から「コレステロールが高い人は、卵やイカ、エビを食べてはいけない」とよく言われてきました。しかし近年の医学研究により、食事から摂るコレステロールの常識は大きく変わっています。

実は、体内のコレステロールの約7〜8割は「肝臓」で糖や脂質を原料に自ら合成されており、食事から吸収される割合は2〜3割程度に過ぎません。さらに、食事からたくさんコレステロールが入ってくると、肝臓は合成する量を減らして体内のバランスを一定に保つ仕組みを持っています。

そのため、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でも、2015年版以降、食事からのコレステロールの摂取制限(上限値)は撤廃されました。健康な人であれば、卵を毎日食べたからといって、それだけで血液中の悪玉コレステロールが急激に上がるわけではないのです。

食事からのコレステロール摂取量と、血液中のコレステロール値、さらには心血管疾患の発症率との間に直接的な関連は見られなかったと報告されています。

ただし「脂質異常症」の人は例外

すでに「脂質異常症(高コレステロール血症)」と判定されている方の場合は、食事からの影響を受けやすいことが分かっています。

日本動脈硬化学会のガイドラインでは、数値が高い方に対して「1日のコレステロール摂取量を200mg未満に抑えること」を推奨しています。卵1個(卵黄)には約210mgのコレステロールが含まれているため、数値が高めの方は、卵や鶏レバー、魚卵などの食べすぎにはやはり注意が必要です。

悪玉コレステロールが高いとどうなる?「心筋梗塞」のリスク 

国内外の多くの研究をまとめたメタアナリシス(複数の研究を統合した信頼性の高い分析)によると、LDLコレステロール値が39mg/dL(1.0 mmol/L)上昇するごとに、心筋梗塞などの冠動脈疾患のリスクが約20〜25%増加することが分かっています(CTT Collaborationの研究) 。

特に日本国内の代表的な大規模疫学調査(CIRCS研究など)でも、以下の具体的なリスクが証明されています。

  • LDLコレステロール値が140mg/dL以上になると、正常域の人(80mg/dL未満)に比べて、将来的に心筋梗塞を発症するリスクが約3.8倍に跳ね上がります。
  • さらに、数値が180mg/dL以上(高度な脂質異常症)の場合、リスクはさらに増大し、早期の薬物治療介入が強く推奨されるレベルとなります。

悪玉コレステロールは血管の壁に潜り込み、プラーク(脂肪の塊)を作って血管を細くします。これがある日突然破れることで血管が完全に詰まり、心筋梗塞や脳梗塞を発症します。自覚症状がないからこそ、数値という「目に見える警告」に対処する必要があるのです。

積極的に摂りたい!悪玉コレステロールを下げる「3つの味方」

コレステロールを減らすためには、「食べるのを我慢する」だけでなく、「余分なコレステロールを体外に追い出す食べ物」を積極的に摂ることが極めて効果的です。特に意識して摂りたい3つの成分をご紹介します。

① 水溶性食物繊維(コレステロールを絡めとって便として出す)

食物繊維には、小腸でコレステロールや胆汁酸を吸着し、便と一緒に体の外へ排泄してくれる働きがあります。特に「水溶性食物繊維」が効果的です。

  • おすすめの食べ物: 大麦(もち麦)、オートミール、海藻類(ワカメ、メカブ)、キノコ類、納豆、オクラなど
  • 工夫のコツ: 朝食のご飯を「もち麦ごはん」や「オートミール」に変えるだけで、驚くほど手軽に食物繊維の量を増やすことができます。
  • エビデンス: 67件の臨床試験をまとめたメタアナリシス論文(Brownらによる研究)によると、大麦(もち麦)やオートミールなどに含まれる水溶性食物繊維を毎日2〜10g摂取することで、LDLコレステロールが有意に低下することが実証されています。特に、毎日3gの水溶性食物繊維(大麦ごはん約1〜2杯分)を摂取するだけで、LDLコレステロールが約3〜5%低下すると報告されています。 

② 植物性ステロール(コレステロールの吸収をブロックする)

植物性ステロールは、植物の細胞膜に含まれる成分です。形がコレステロールと非常によく似ているため、小腸でコレステロールが体に吸収されるのを邪魔(ブロック)してくれる頼もしい味方です。

  • おすすめの食べ物: 大豆製品(豆腐、納豆)、ブロッコリー、アボカド、ナッツ類(アーモンド、クルミ)、植物油など
  • エビデンス: 多数の臨床試験(欧州食品安全機関:EFSAなどの評価)において、大豆製品やナッツ類に含まれる植物性ステロールを1日あたり1.5〜2.4g摂取すると、小腸でのコレステロール吸収が抑制され、悪玉(LDL)コレステロール値が7〜10%低下することが確認されています。 

③ 不飽和脂肪酸(EPA・DHA・オレイン酸:悪玉を減らし血管を守る)

油(脂質)の中には、悪玉コレステロールを減らしてくれる「良質な油」があります。

  • 青魚の油(EPA・DHA): サバ、イワシ、サンマなどの青魚に多く含まれる油は、肝臓で悪玉コレステロールが作られるのを抑え、血液をサラサラにします。週に数回は肉より魚をメインにしましょう。缶詰でも効果は同じです。
  • 植物性の油(オレイン酸): オリーブオイルやキャノーラ(菜種)油に含まれるオレイン酸は、善玉コレステロールを減らさずに、悪玉コレステロールだけを下げてくれる特性を持っています。調理に使う油をラードやバターからオリーブオイルに変えてみましょう。
  • エビデンス: 日本で行われた大規模臨床試験「JELIS試験」では、高コレステロール血症の患者さんに青魚の成分であるEPAを継続して高純度で摂取してもらったところ、一般的な治療を行っているグループと比較して、突然死や心筋梗塞などの重大な心血管イベントの発症率が19%も減少したという画期的な結果が証明されています。 

悪玉コレステロールを「跳ね上げる」控えるべき脂質

コレステロールを下げる上で、食べ物自体のコレステロール(卵など)よりもはるかに深刻な影響を及ぼすのが「飽和脂肪酸」と「トランス脂肪酸」という2つの油です。これらは肝臓での悪玉コレステロールの合成をダイレクトに促してしまいます。

① 飽和脂肪酸(肉の脂身、乳製品)

室温で白く固まる油は、飽和脂肪酸を多く含みます。

  • 控えるべき食べ物: バラ肉や霜降り肉の脂身、鶏肉の皮、バター、ラード、生クリーム、チーズ
  • 対策: お肉を食べる時は、バラ肉からヒレ肉やモモ肉(赤身)に変える、鶏肉は皮を剥いで調理する、といった一工夫で飽和脂肪酸を大幅にカットできます。
  • エビデンス: ハーバード大学をはじめとする世界的な研究により、食事全体の総エネルギーのうち、飽和脂肪酸からの摂取割合を1%減らし、オリーブオイルなどの不飽和脂肪酸に置き換えるだけで、LDLコレステロールが約1.2〜2.0mg/dL低下することが分かっています。動脈硬化ガイドラインでも、総エネルギーに占める飽和脂肪酸の割合を「7%未満」に抑えることが強く推奨されています。 

② トランス脂肪酸(人工的な油)

植物油に水素を加えて固形化した油や、それを高温で加熱する過程で発生する油です。悪玉コレステロールを増やすだけでなく、善玉コレステロールを減らすという最悪のダブルパンチを与えます。

  • 控えるべき食べ物: マーガリン、ショートニング、市販のスナック菓子、クッキー、ケーキ、揚げ物(ファストフード、市販の惣菜など)
  • 対策: 加工食品を購入する際は、裏面の原材料名を見て「植物油脂」「ショートニング」の記載が上位にないかチェックする習慣をつけましょう。
  • エビデンス: 膨大なデータを分析した著名な疫学研究(Mozaffarianらによる論文)では、1日の総エネルギー摂取量のわずか2%をトランス脂肪酸から摂取するだけで、心血管疾患(心筋梗塞など)の発症リスクが23%も増加するという衝撃的な事実が報告されています。WHO(世界保健機関)も世界的な規模でトランス脂肪酸の全廃を目指して動いています。

まとめ:明日からできるコレステロール対策

コレステロールを下げる食事は、決して「味気ない我慢の連続」ではありません。今日からできる以下の3つのアクションから始めてみませんか?

  1. 肉より魚を選ぶ日を増やす(サバ缶や焼き魚を週3回目標に)
  2. 朝食に食物繊維をプラスする(白米をもち麦に変える、納豆や海藻スープを足す)
  3. 間食のスナック菓子やクッキーを、素焼きのナッツに変える

食事を少し変えるだけで、数ヶ月後の健康診断の数値に見事な変化が現れる方はたくさんいらっしゃいます。

ただし、食事習慣を数ヶ月見直しても数値が全く下がらない場合、それは遺伝的な体質(家族性高コレステロール血症など)が原因かもしれません。その場合は、血管が傷ついて動脈硬化が進む前に、お薬による適切な治療が必要になることもあります。「食事を変えてみたけれど不安」「自分の数値に合った具体的なアドバイスがほしい」という方は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。

参考文献

  • https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
  • https://www.j-athero.org/jp/general/5_colqa/
  • https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-031
  • https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/148.html
  • https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21067804/
  • https://www.med.or.jp/dl-med/jma/nichii/zaitaku/2024kakari/2024kakari_03.pdf
  • https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra054035
  • https://jamanetwork.com/journals/jamacardiology/fullarticle/2784038
 data-src=夜間内科 「MIZENクリニック」" width="1280" height="853" >