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糖尿病の飲み薬 最新の薬物治療について解説!

 

 

現在内服している薬に不安を持っていらっしゃる方へ

 

 現在、糖尿病*の治療法は、食事・運動療法をベースに、適宜飲み薬を追加する事で血糖値をコントロールする事が基本となっています。しかし飲み薬には様々な種類があり、それぞれが異なる効果を持つため、「現在使っている飲み薬が自分に合った薬なのか?」と不安に思っている患者様も多いのではないでしょうか。本記事では、最新の糖尿病治療薬の特徴についてそれぞれ詳しく解説します。

 

*正確には2型糖尿病と言います

 

そもそも糖尿病とは?

糖尿病は『糖が尿から出る病気である』と勘違いされがちですが、実際は血中の糖である“血糖”が多くなってしまうことが糖尿病の病態です。これは血糖を少なくする働きを持つインスリンと呼ばれる物質が働きづらくなったり、体内で産生されづらくなったりすることで、血糖が高い状態が持続してしまいます。

 

治療の柱となる糖尿病治療薬について

 

 まずは、今日においてよく処方される飲み薬(経口血糖降下薬)を3種類紹介します。これらの薬をまず選ぶのには理由があります。それは、ただ血糖値を下げるだけではなく、”患者様の健康的な状態を長期的に保つ”事が研究で明らかになっているためです。以下に薬の説明及び副作用についてをまとめました。

 

ビグアナイド(メトグルコ®︎)

 

 インスリン抵抗性改善薬と呼ばれる種類の薬です。肝臓で作られる糖を血中に放出する過程を抑えることで血糖を低下させます。またその結果、心筋梗塞などのリスクを減らす効果が得られます。安価である事からも最も基本的な治療薬であり、2型糖尿病に対してまず最初に使う薬として、広く処方されています。

 

副作用としては胃腸症状、筋肉痛、脱力感、意識障害(乳酸アシドーシス)があり、薬が効き過ぎてしまう高齢者や腎機能が落ちている方には使用が避けられています。

 

SGLT2阻害薬(ジャディアンス®︎、スーグラ®︎、フォシーガ®︎)

 

 尿から糖分の排泄を促すことで血糖を低下させる薬です。心筋梗塞などのリスクを低下させるだけでなく、腎臓を保護するもあり腎機能や一部の心臓が悪い方にも使うことのできる薬です。1日1回の服用で済む所も良い点です。ビグアナイドの次に選択肢として挙がる薬で、ビグアナイドと併用して使うことも可能です

 

副作用には危険な状態(ケトアシドーシスなど)や、脱水、尿路性器感染症に注意する必要があります。

 

GLP-1受容体作動薬(リベルサス®)

 

 糖の吸収を遅らせ、インスリン分泌を促進することで血糖を低下させる新しい薬です。心筋梗塞などのリスクを低下させる事が明らかになっています。以前は注射タイプしか存在しませんでしたが、リベルサス®︎と呼ばれる飲み薬が2021年2月に日本で認可されたことで、治療の幅が広がりました。

 

 副作用としては使い始めに便秘や下痢、吐き気といった胃腸症状が出る事がありますが、自然に治る方がほとんどです。また他のインスリンの分泌を促進させる薬との併用は、低血糖を引き起こす可能性があるため避ける必要があります。

 

その他の糖尿病治療薬について

 

 上記の薬に加えて、必要に応じて以下の内服薬を追加して治療をする場合があります。

 

DPP-4阻害薬

 

インスリン分泌を促すホルモン(GLP-1)の働きを上げることで血糖を低下させる薬です。血糖が低くなりすぎることが少なく、高齢者に対して非常に使いやすい薬です。

 

副作用として、自分の体を攻撃してしまうような自己免疫性疾患と呼ばれる病気のリスクを高める事が知られています。

 

スルホニル尿素(SU)薬

 

インスリン分泌を促進することで血糖を低下させる薬です。血糖を下げる作用は最も強い薬で昔はよく処方されていた薬です。

 

副作用として低血糖や体重増加を引き起こしてしまうことから現在ではあまり使われることはありません。

 

チアゾリジン

 

筋肉や肝臓でのインスリンの効きを良くすることで血糖を低下させる薬です。

 

副作用としてむくみによる体重増加をきたすことから、心不全を合併している方には使う事ができません。また、膀胱癌や骨粗鬆症のリスクになる事が知られています。

 

αグルコシダーゼ阻害(αGI)薬

 

食前に内服する事で、腸からの糖の吸収を減らすことで血糖を低下させる薬です。

 

副作用としては腸閉塞のリスクが上がることが知られており、お腹を手術したことがある方には使うことができません。

 

2型糖尿病の治療をしたいと思ったらMIZENのクリニック

 実際にどのような薬を内服すると良いのかについては、年齢や生活習慣、病気の進行の程度を総合的に判断して決めていきます。健診で異常を指摘されている方、今の治療薬に不安がある方など少しでも気になることがある方はぜひお気軽にご相談ください。

 

参考文献

1日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会.糖尿病標準診療マニュアル2022

2.Intensive blood-glucose control with sulphonylureas or insulin compared with conventional treatment and risk of complications in patients with type2 diabetes (UKPDS33). UK Pro-spective Diabetes Study(UKPDS)Group. Lancet 1998; 352: 837-853.

3.Yabe D, et al. Safety and efficacy of oral semaglutide versus dulaglutide in Japanese patients with type 2 diabetes (PIONEER 10): an open-label, randomised, active-controlled, phase 3a trial. The lancet Diabetes & endocrinology 2020; 8: 392-406. 

 

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